以前にも、架空請求メールについて書きましたが、また新しいものが届きましたので載せたいと思います。
今回はYahoo!のフリーメールに届きました。
タイトル及び本文は以下のとおりです。
タイトル:裁判になってしまいます
>事件番号:(ハ)2626-19号
>訴訟取り下げ最終期日通知日より48時間以内です。
>この度、貴殿の登録したサイトの未回収料金について契約会社及び運営会社から、民事事件として訴状の手続きが開始される事を通知致します。
>尚、裁判後の措置として裁判所による執行証書の交付後、給料差押さえ、及び動産不動産の差押さえを、判所執行官の立ち会いのもとで、強制執行させていただきますので予め了承下さい。また、財産隠匿の恐れがあると認められた場合は調査機関に依頼し近親者やご職場、ご近所にお客様名義での調査を入れさせて頂く可能性も御座います。
>訴訟取り下げ等のご相談に関しましては、ご本人様からのみお受けしております。
>退会処理を行うことで、即時訴訟の取り下げ等が可能となっておりますの。必ず、上記の訴訟取り下げ最終期日までにお問い合わせ下さい。
>↓未回収料金詳細並びに退会申請はこちら↓
>☆ttp://popularity047.click/bin/loginCamp.php?uid=MTAzNjMzNA==&passwd=aHRudQ==&url=v685ucy7546n
>このメールに直接返信されましても、一切応じられませんのでご注意下さい。
>なお、ご連絡はリンク先からのみ受け付けており、本メールに直接返信しても一切無効であることを申し伝えます。
>本通知は配信専用の為、直接返信することはできません。
>紛争事案解決窓口に連絡する際は、下記URLよりお送りください。
>☆ttp://popularity047.click/bin/loginCamp.php?uid=MTAzNjMzNA==&passwd=aHRudQ==&url=bk5py2vsm35m
※間違ってリンク先にアクセスしてしまうといけませんので、初めのhを☆に変えています
さて、前回もそうですが、今回も不自然な点ばかりです。
メールにはまず事件番号が書いてあります。
訴訟においては、裁判所で受理した順番に付される番号があり、事件番号と呼びます。
これは、訴訟提起を行い、裁判所で訴状を受理されなければ番号が付されることはありません。
私が今年訴訟提起した事件には【平成27年(ワ)〇〇〇〇号】という事件番号が付されています。
1年毎にリセットされますので、平成何年かも事件特定のためには不可欠ですが、メールには書かれていませんでした。
ちなみに、(ハ)は簡易裁判所での民事訴訟第一審を示し、(ワ)は地方裁判所での民事訴訟第一審を示します。
タイトルは「裁判になってしまいます」となっており、本文でも「民事事件として訴状の手続きが開始される事を通知致します」と書かれており、未だ裁判にはなっていない(訴訟提起されていない)ようです。
先ほど述べたとおり、事件番号が付されているのは訴訟提起された後です。
そもそも、訴訟提起がなされているのであれば、裁判所から特別送達で訴状が届くことになり、通常当事者が通知することはしません。
「退会処理を行うことで、即時訴訟の取り下げ等が可能となっております」と書かれていますが、未払金の回収がなされていないにもかかわらず、なぜ退会処理だけで訴訟を取り下げるのか不明です。
おそらく、退会処理のためのリンク先にアクセスすることを目的としているのでしょう。
「訴訟取り下げ最終期日」と書かれていますが、法律上、訴えの取下げは、判決がなされ、その判決が確定するまでは取り下げることが可能です(民事訴訟法第261条第1項)。
そして、訴えの取下げは、訴訟外で解決することができた場合や敗訴が濃厚となった場合等訴訟を継続することが不必要になった場合に行なわれるものです。
意味もなく訴訟を継続することはありませんので、当事者が取り下げるか否かの期日を設け、それに遅れただけでその後訴えを取り下げることは一切ないとの運用をすることは考えられません。
他にもおかしな点は多々あります。
このようなメールに対する対応は前回と同様、「無視すること」に尽きます。
連絡をとれば、相手に情報を与えることになり、メールに対応してくれる人だと知らせることになります。
上記メール本文と異なり、架空請求メールであるか心配である場合には、弁護士等の専門家に相談するのがよいでしょう。
最後に・・・
そもそも、法的な内容の以前に、このメールの日本語が破綻しています。
通常の会社であれば、このようなことは有り得ません。
通知であれば尚更、通知内容が正確に伝わるものでなければ通知の意味がありません。
突然送られてくる日本語が不自然なメールは怪しいと考えてよいでしょう。