架空請求メール

 携帯電話をスマートフォンに変えて1年ちょっとになりますが、友人らとの連絡手段もEメールからLINEに変わりました。
 携帯電話でのメールをほとんど利用していなかったのですが、先日、携帯電話のメールアドレスに次のようなメールが届きました。

> ㈱奥富探偵事務所
> 管理番号【000919】
>
> お忙しい所失礼致します。
> メール受信設定を考慮の上,担当携帯端末からEメールによる通達を予めご了承下さい。
> 調査機関㈱奥富探偵事務所の,担当成瀬と申します。
> インターネットサイト『〇〇(実在するサイトなので名前は伏せています)』の使用状況の確認となりますが,
> 平成26年01月28日以降,サイト登録のまま放置状態とされています。
> 先方企業としては,再三に渡る電子文書による通知を踏まえ,請求金額の微収を困難とし、簡易裁判所に置ける法的解決を求められる段階で,弊社に身辺調査の依頼申請を提出されています。
>
> 身辺調査依頼の受託前に状況の再確認にご協力頂きたくご連絡させて頂きましたが,
> ・誤操作による登録の可能性はないか?
> ・先方企業の通達を受信(確認)できていたか?
>
> 民事訴訟規則第12条において,訴状提出を控えた現状に対しても,簡易的な解決の手段はありますが,状況によって事案の対処,解決の手段は大きく変わります。
>
> ご自身の状況の確認や,ご相談の際は,冒頭の管理番号を把握の上,下記電話番号,わたくし成瀬宛てにて受付させて頂きますが,翌営業日正午迄の受付となります。
> 予めご了承頂けます様お願い致します。

 間違いなく架空請求メールです。
 もちろん内容に身に覚えはありません。
 実際に存在するサイトの名前を使っていますが、本文にある民事訴訟規則第12条も裁判官の回避(裁判官「私、当事者と知り合いなので裁判に関わることができません」というようなもの)という全く無関係な規程であり、その記載内容は全体としておかしなものです。
 このようなメールには何ら返信することなく、無視をしてしまうのが一番です。
 連絡をしてしまうと、個人情報を相手に与えてしまうだけでなく、相手方に連絡を取る取っ掛かりを与えることになってしまいます。
 気になる場合は、インターネットでメールに記載されている言葉(今回であれば探偵事務所の名前や文面)を検索すれば、同様の架空請求メールの事案が掲載されており、架空請求であることが分かると思います。

 一時期ほど架空請求メールは減少したように感じますが、その手口は巧妙化していると言われています。
 近時は、

実際に裁判を提起する

ということもあるようです。
 どうやら、裁判を取り下げる代わりにお金を支払え、ということで連絡があるようです。
 これは法律や裁判になじみのない方にとっては、非常に恐ろしく感じることでしょう。

 架空請求メールは相手にしないのが得策ですが、実際に裁判所から特別送達が届いた場合は、無視をしてはいけません。
 というのも、訴訟が提起されたとしても、裁判所はそれが真実に基づくものであるか判断することはできませんので、相手方に反論をしてもらうことによって、裁判所は事件の実態を把握していきます。
 そのため、初回裁判に何の連絡・反論もせずに欠席した場合、裁判所は、請求者の主張を認めざるを得ず、その旨の判決を出します(これを欠席裁判といいます)。
 そして、一度判決がなされると、その判決に基づいた強制執行が可能となってしまいます。
 不審な書類が届いた場合には、記載されている電話番号等が本当に裁判所のものであるかを確認し、裁判所に問い合わせてください。
 本当に裁判所から送られてきた書類であった場合には、反論を記載した書面を提出する等の対応が必要となりますので、お気を付けください。

  • 気になるメールや電話があったが、無視してしまうのは怖い
  • 書面が届いたが、本当に裁判所から送られたものか分からない
  • 裁判所から書面が届いたが、どうしたらよいか分からない

このような場合には、法律の専門家にご相談ください。


 

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