刑事事件手続の登場人物

裁判官
・裁判官の主な役割として
 1 警察からの逮捕状請求や捜索差押許可状請求に対し、違法なものではないかを審査すること、
 2 公判での手続を指揮し、裁判において出された証拠を検討し、被告人の有罪・無罪を判断すること
が挙げあられます。

検察官
・検察官の主な役割として
 1.警察から送られてきた(ニュース等では「送致」、「送検」と呼んでいます)事件及び検察官独自に捜査した事件につき、裁判にかける必要があるか否かを判断すること
 2.刑事裁判において被告人が有罪であることを立証すること
の2つがあります。
・検察官のみが、被疑者を起訴するか否か(刑事裁判にかけるか否か)を判断する権限を有しており(これを「起訴独占主義」といいます。)、検察官は犯罪を犯したとの確証をもったとしても不起訴(起訴しないこと)とすることができす(これを「起訴便宜主義」といいます。)。

被疑者
・警察・検察という捜査機関が犯罪を犯したと疑っている者、端的に言うと「犯人」とされる者を言います(ニュースでは「容疑者」という言葉が聞かれますが、法律上「容疑者」という言葉はありません。)

被告人
・被疑者と同様、「犯人」とされる者を指しますが、検察官が起訴をした後は「被告人」と呼びます。
・テレビのニュースでは「被告」と呼んでいますが、法律上「被告」と呼ぶことはなく「被告人」と呼びます(これに対し、民事裁判において訴えを起こされた相手方を「被告」と呼びます)。

弁護人
・検察官という法律の専門家家に相対する被疑者・被告人が法律上十分な権利行使が可能となるよう被疑者・被告の代弁者の役割を果たします。また、精神的に支える側面も有することから保護者的立場にあるともいわれます。
・弁護士と弁護人の違いとしては、弁護士という職業の者が、刑事手続における「弁護人」という役割を負っているということになります(これに対し、民事裁判では「弁護人」ではなく、「代理人」と呼びます。)。

警察
・実際に逮捕や捜索・差押えといった捜査全般を行う、捜査機関の実働部隊となります。
・警察は、犯罪の存在が疑われる場合に、捜査を行い、検察官に対して事件を証拠とともに送致します。
・事件を検察官に送致した後で更に、検察官の指示の下に補充捜査に当たることもあります。

被害者・被害者遺族
・刑事裁判は、検察官が有罪であることの立証を行い、それに対して被告人・弁護人が反対の意見を述べた上で、裁判官が被告人につき本当に犯罪を行ったか否か等を検討し、有罪・無罪の判断及び刑罰の軽重を決定する制度です。そのため、事件の被害者や被害者遺族は事件の当事者ではありますが、刑事裁判の当事者ではありません。
・しかし、近時は、被害者の存在が軽視されているとの点から、被害者や被害者遺族が法廷で意見を述べるための手続が設けられています。

ラインmodoru