丼を押し付けて暴行罪

 Yahoo!ニュースにこのような記事を見つけました。

カルビ丼を店員の顔に押し付ける 容疑で男逮捕 尼崎(神戸新聞NEXT) – Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150223-00000001-kobenext-l28

 これだけでは事件の状況は分かりませんし、ニュースの記事だけを鵜呑みにするわけにはいきませんが、自分が頼んだものが友人の前に置かれただけでそこまで怒るものなのかと不思議に思ってしまいます。

 よく疑問を持たれるのが暴行罪と傷害罪はどのように違うのかということです。
 この点、暴行罪は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」(刑法208条)と規定されている犯罪です。
 単純に言うと、人に対して「暴行」を加え、「傷害」に至れば傷害罪であり、「傷害」に至らない場合には暴行罪ということになります。

 問題となるのが「傷害」の意味ですが、《人の生理機能に障害を与えること又は人の健康状態を不良に変更すること》とされています。
 これまたよく分からない定義ですが、いわゆる怪我をした場合には「傷害」に該当します。
 出血や骨折、気絶させるのも「傷害」ですし、皮膚の表皮剥脱も「傷害」とされています。
 すなわち、暴行罪は「暴行」を行ったものの、怪我をしなかった場合に成立する犯罪ということです。

 なお、「暴行」とは、一般的に《人の身体に対し不法に有形力を行使すること》であるとされています。
 簡単に言えば、人の身体へ向けた行為は概ね暴行に該当します。
 食塩を顔や胸等に振りかける行為も「暴行」に当たるとされていますし、人の数歩手前を狙って石を投げつける行為も「暴行」に当たります。
 もちろん不注意により同様の行為をしてしまった場合には暴行罪とはなりませんが、思いがけない行動が「暴行」と判断されてしまう恐れもありますし、不注意であっても「傷害」に至ってしまった場合には過失傷害罪に問われる恐れがありますので、お気を付けください。

※上記の「傷害」や「暴行」は一般的な見解を述べたものであり、実際には態様や程度によって具体的な事情に沿って判断されることになります。


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